FOLIOでやってるマネージメント勉強会の紹介

この記事は FOLIO Advent Calendar 2023 - Adventar 9日目の記事です。

マネージメント技術の学び方

突然ですが、マネージメント技術ってどう学んでいますか? 特に新任のリーダーにとっては暗中模索だったり、とりあえず業務を回すのに精一杯でなかなか深掘りできないといったケースも多いのではないでしょうか。

今日はそんなマネージメント技術の学び方についてFOLIOで実施している取り組みを紹介します。

課題

新規にマネージャーになる場合、業務で利用するスキルセットが大きく変わることになります。 マネージャーのスキルセットは相互に関連があり個別には学びにくくインプットから実践までのハードルもあります。 このとき、何をどの程度学べばいいのかといった指針がないと新任マネージャーが徒手空拳で戦うことになってしまうという課題があります。

また、FOLIOのようなスタートアップ企業の場合、バックグラウンドの異なる社員が多数在籍しておりマネージャーの役割・理想的な振る舞いに関する認識も様々です。 多様な価値観が同居するのは良いことですが、一人ひとりのマネージャーが違う流派で戦うことになると相談・アドバイスがしづらいという問題も出てきます。

結果として、何となく要領よくできる人や前職でマネージメント経験のある人がリーダーを担当することになり、長期的には社内からリーダーをやりたいと思う人が出づらくなる(学べるスキルが自明でなくキャリアにつながるのかわからない。要領よくできる自信がない。)、社内でリーダーが育ちにくくなる(社外から経験者を取り続けることになる。)といった問題がでてくることが想定されました。

マネージメント勉強会

上記の課題の解消に向けて、比較的距離感の近いバックエンドチームのマネージャー陣4名にてマネージメント勉強会を実施することになりました、

実施方法

  • エンジニアのためのマネジメント入門 を輪読する
  • 1名が区切りのいいところまで音読。他3名は内容をメモする
  • 内容のメモを順番に発表。このとき自分が持っている別の知識や、社内や前職での事例についても共有する

狙い

この会による狙いは以下です。

  • マネージャー自身が体系的にマネージメント技術を学ぶ
  • マネージャー間での価値観や経験知を共有する
  • マネージャー間で共通言語を作る
  • 今後マネージャーになる人にとって、マネージャーが学ぶべき内容を分かりやすく整理し、経験と勘がない状態でも技術とノウハウを身に着けマネージャーとして成長できる道筋を作る

やってみて

自分で読むより深く読める。記憶に残る

本に出てくる各種モデルやテクニックは読んだだけではなく実践して初めて意味が出てくるものです。 一方で本でサラッと読んだだけだと翌日には忘れてしまっているということもよくあるのではないでしょうか。 勉強会で時間をかけて話したり実際の経験と照らし合わせて自分自身が話すことで記憶に残り、普段のマネージメント業務で活かしやすくなる効果がありました。

毎週実施しているので学んだことを実際にミーティングのファシリテーションや1on1などでのコミュニケーションに取り入れてみてどうだったかといった感想のシェアをタイムリーに行えるのも良い点でした。これにより自分もやってみよう・真似してみようといった気持ちになりやすい環境になったと感じています。

マネージャー陣の中で共通言語ができた

実際の問題を議論するときに、5分かけて「行動変容ステージモデルってのがあって、それによると人の行動が変わるにはこういうステージがある。」と長々と解説されたあとに問題に対するアプローチに話題を移していくのはなかなか難しいものです。

この会を実施したことで「無関心期の人に実行期の施策をいきなり提案してるかもな」といった話がいきなり可能になり、問題認識・課題解決への方法模索がスムーズにりました。 もちろんモデルに当てはめればすぐ解決する問題ばかりではありませんが、アテもなく悩んでいる状態からモデルに当てはまるとしたら何をすればいいか考えている状態に移行できるというのは重要なことだと考えています。

答えが得られにくい問題に対しても相談がしやすくなった

他マネージャーへの相談については、答えを持っている経験豊富なマネージャーに相談という形から、仮に答えは持ってなかったとしても「このモデルに当てはめたらなにかアイデアが出るんじゃない?」といった発想の源に気づかせてくれるマネージャーに相談という形にシフトできるようになりました。

このシフトは答えを提示する形ではなく本人が答えを導き出すコーチング型の環境作りにも繋がりますし、マネージャーが「どうせ相談しても解決しないしな・・」と一人で抱えこんでしまうことを防止する効果もあります。

異なるバックグラウンドでのマネージメントの価値観の違いについて理解を深める事ができた。

勉強会の場は会話でもなく議論でもなく、特定のトピックに対してお互いの経験・価値観を開示していく対話の場になっていました。

その結果、マネージャー同士での相互理解が深まり、通常は孤立しがちなマネージャーがマネージャーチームとしてまとまっていったように感じました。 当初は想定していなかった効果でしたが、いわゆる会話・対話・議論のうち、対話の要素をもった会にできたことが大きいと考えています。

参考

組織施策を機動的にチームに伝えるブリッジ役を果たしやすくなった

組織課題の認識も共通言語があれば伝わりやすく、用語ごとの齟齬も生まれにくくなります。 例えば「この組織にはアンラーニングが必要」といった場合に”アンラーニング”が意味している範囲・イメージのすり合わせできていないと、その先の施策の話はできません。

会社単位での施策を実施する際、いちいち「アンラーニングとはこういうことで」とバックグラウンドになる知識・理論を0から説明していくのはなかなか骨が折れる作業です。 一方でそこの土壌づくりをスキップすると、「良く分からない」「納得していない」施策となり、施策の形骸化に繋がっていきます。

普段から共通言語を作って組織を耕していくことで初めて具体的な施策という種蒔きが可能になるわけですが、そこの土壌づくりの一部を行えたかなと感じてます。 特に会社単位での施策を浸透させる際に一番のキーになるのは現場マネージャーであり、現場マネージャーに共通言語があることで「こう言えばマネージャーみんなに通じる」というモデルや理論をいくつも蓄える取り組みは組織を変えていくための力に繋がると考えています。

終わりに

エンジニアのためのマネジメント入門 はマネージメント技術について幅広いトピックを扱っており内容もコンパクトなので自分で読むのにもおすすめですが、今回のように話しながら理解を深めていくようなユースケースにもぴったりでした。

今回はピープルマネジメントについてを主に取り上げましたが、実際にはプロジェクト進行だったりプロダクトの企画だったりマネージする対象は多数ありますので、そういったところにも手を伸ばしつつ、FOLIOでマネージャーをやっているとノウハウが自然と身について自身もスキルアップしていける環境を作っていければと思います。